-
"発表会後に弁護団に話を聞くと、和解などはまったく考えてないようだ。条文では明確に違法なのだから違法化、あるいは「逆の明確化」がなされれば、後はそれに従って進んでいくことになる。"
逆の明文化となるか:東野圭吾さんら作家7名がスキャン代行業者2社を提訴――その意図 - 電子書籍情報が満載! eBook USER
-
人気7作家自炊代行提訴議論 法学者編 - Togetter
キッカケは人気7作家による自炊代行業者への提訴。
これに対しマンガ家、佐藤秀峰氏が「強い違和感」をブログで表明。
これに法学者の玉井先生が反論を加えたことが端緒となります。以下キャスト。
玉井克哉氏 @tamai1961 (法学者)
境真良氏 @sakaima (経産官僚)
小倉秀夫氏 @Hideo_Ogura (法学者)
佐藤秀峰氏 @shuhosato (マンガ家)「アゴラ : 自炊代行提訴についての雑感 —- 玉井克哉」が書かれる直前、直後の議論があった。
-
"現在、スキャン代行は違法、または違法に近いグレーと言われていますから、この程度の拡がりで済んでいます。仮に適法だとされた場合、爆発的に拡がるのは目に見えている。そうなったら、どうなるか?恐らく、「裁断本の転売サービス」と結びつくはずです。[…]スキャン代行が適法ならば、代行業者は裁断済み本を処分する、なんてもったいないことはしないで、転売サービスに回すようになります。"
福井健策弁護士ロングインタビュー:「スキャン代行」はなぜいけない? (2/3) - 電子書籍情報が満載! eBook USER
ブログに書いたように、今の業者はサービス内容として裁断済み書籍のスキャン後の処分を明記しているし、中には写真を公開しているところもある。
もちろんそれで可能性を否定できるわけではなくて、本当にそうした形での原本の流出を防ぎたければ、企業の機密書類流出対策を参考に考えることはできる。もう一段階進めるなら機密書類廃棄を請け負って廃棄(溶解)証明を出すような第三者に廃棄を委託する。さらに進めるなら、出版社が書籍一冊一冊に異なるウォーターマークを入れて、スキャン代行事業者に預かった書籍のウォーターマークの記録を義務付ける。実物はもちろん、スキャンやコピーからも原本を特定できるようにというのはデジタルウォーターマークで行われてきたことそのものだ。
実際、この作家陣や出版社らはどこまでやりたいのだろう。こうした許可の方向を見据えつつ許容ラインは考えているのか、それとも転々流通に対する対価の仕組みが必須と考えているのか、まったく禁止以外の方向は考えていないのか、どうなのかな。
-
"ネット上では自炊カフェを否定する声が非常に大きかった。これは、実質論で見たのでしょうね。フリーライディングがそこにあるかどうか、という意識が働いているのだと思います。 つまり、作家・出版社などが苦労して作品を生み出し、それで食べている、これは常に忘れてはいけない事実です。読者にせよ、業者にせよ、そこにただ乗りする人が増えればその分、作品を生み出した人々が疲弊することになってしまいかねない。"
福井健策弁護士ロングインタビュー:「スキャン代行」はなぜいけない? (1/3) - 電子書籍情報が満載! eBook USER
-
自炊代行「想像」論が辛い - Tsukamoto's blog
「『自炊』代行2社にスキャン差し止め要求 東野圭吾さんら作家が提訴 - ITmedia ニュース」、この提訴以来、自炊代行についての意見を多く見ますが、特に以下の3点を論じているものが目に付きます。
- 著作権違反の有無。この「『自炊』の代行は私的複製に該当するか」という点は、重要な論点だと思います(そして該当しないとなれば、現行の著作権が実態にマッチしているかという議論に続いてくれるとよいと思います)。
- 裁断の是非。しかし私には感傷の押し付けのように感じられ、議論するところではないように思えます。
- 「自炊」代行によって「漫画家や作家が近い将来職業として成立しな」くなるか。それが差し止めを提訴する理由になるかも含めて微妙な点ですが、議論はされてもよいと思います。
気になるのは3点目の実際の議論。「自炊」代行についての誤解に基づいている意見が見られることです。例えば「アゴラ : 自炊代行提訴についての雑感 —- 玉井克哉」では次のように論を展開しています。
人気のある作家・漫画家の場合、多くの人が「代行」を依頼するでしょう。そうした場合、業者は[…]依頼者ごとに本を裁断し、スキャンし直してデータを取り直し、別々のデータをそれぞれの依頼者に送るのでしょうか。私には、とてもそんなことは想像できません。
いちどPDFにしてデータを取れば、二番目以降の依頼者には同じデータを送るのが一般的でしょう。[…]データを取らないのに裁断するなどということは、まったく無駄なことです。そんな馬鹿げた、無駄なことはしない、というのが、無理のない想定でしょう。
裁断用に送付された書籍が大量に積み上がることになります。その書籍は、どうなるのでしょうか。本来裁断用ですから、廃棄するのが妥当です。産業廃棄物として、業者に引き取らせることになるでしょう。
廃棄物処理業者はどうするでしょう。新品の本です。ベストセラー作家の最新著作です。[…]私が廃棄物処理業者なら、捨てたりはしませんね。古本屋に持っていって、売ることになるでしょう。
恣意的な引用になっていないか、引用元ページ(あるいはWeb魚拓)は確認してください。
この論では同じ書籍の自炊代行依頼があった時に、実際に送られてきた本を一冊ごとにスキャンして廃棄するということは「私には想像でき」ない、スキャンしないなら裁断しないというのが「無理のない想定」、裁断していない本は産業廃棄物として業者に「引き取らせることになるでしょう」、そして「私が廃棄物処理業者なら」「古本屋に持っていって、売ることになるでしょう」と玉井氏の想像で書かれています。
実際には、例えばこの業種のさきがけといえるBookscanは、サービス案内に次のように明記し、廃棄処分時の様子も公開しています。
1冊分あたり100円で書籍を裁断し、スキャナーで読み取り、データ化したのち 原本は再流通しないよう廃棄処分(溶解処理)しております。[…]もちろん1冊づつお客様の本を丁寧に裁断・スキャンしておりますので、本にメモが書き込まれている場合でもそのままデータとして残ります。
自炊の代行とは、字面どおりに解釈すれば「自炊したのと同じ状態にする」のであり、当たり前のモラルを持った業者はそのようにサービスを定めています。そしてそのサービスを受注したからには、そのようにサービスをするのです。他方で、利用者もまずその前に読者なので、自分が愛着を持っていて最後に「自炊」に出す本でおかしなことをされるのは嫌だと思っていて、その視点で業者を選んでいます。
業者に「複製」をさせる気はない。単なる「データ変換」でなければならないから、原本の破棄は必須[…]そんな感じで絞っていくと、けっきょく最大手であるBOOKSCAN
(BOOKSCANを利用してみた(1) - ただのにっき(2011-09-25))業者は「自炊を代行します」というからにはそのようにサービスを作り、そして受注したら顧客に示したサービス内容をその通り遂行する。それはこの国ではまだ「高いモラル」ではなく「当たり前のモラル」の範疇ではないでしょうか。例えば、「メモが書き込まれて」いた本をBookscanに自炊代行させ、メモが消えていたらBookscanの過失になるはずです。「廃棄処分」されたはずの本を古書店で見つけても同様です。
それを疑い、疑いを口にするのであれば、例えば「Bookscanに依頼したスキャンではメモが消えていた」「写真に写っている王子板紙に問合せたら廃棄の事実はなかった」などの反例を沿えるべきではないでしょうか。読み返すと「私のモラルを基準にすれば、自炊代行業者も廃棄物処分業者も不適切なことを行うだろう」という論旨で、裏づけが見当たらないのです。
「言論のプラットフォーム」を掲げるアゴラに大学教授の署名で載せられた文章としては、事実の提示がなく、逆の事実を提示することができ、正直なところ誤解に基づく「書き飛ばし」の感を抱いてしまいます。議論や言論というものは、まず共通の事実の認識と理解があって、その上に意見を積み上げていくものだと思います。さまざまな意見があってよいと思いますが、ぜひ「私の想像」「私のイメージ」ではなく、事実を示しあって、事実に対するお互いの解釈を披瀝しあって、その上で議論をしてもらえればと思います。
-
7人…ではなく122人の「自炊代行」差し止め対象作家
東野圭吾氏や弘兼憲史氏ら作家・漫画家7人が20日、裁断機やスキャナーを用いて書籍を電子化する、いわゆる“自炊”の代行業者2社を相手取って、スキャン行為の差し止めを求める訴えを東京地方裁判所に提起した。[…]原告は2名のほか、浅田次郎氏、大沢在昌氏、永井豪氏、林真理子氏、弘兼憲史氏、武論尊氏。
(東野圭吾氏ら作家7人、書籍スキャン“自炊”代行業者を提訴 -INTERNET Watch)いま本棚を見回すと、数冊あって手放す時には電書化したいと思うのは東野圭吾。一人で済んでまだしもよかった…と思ったけど、そうではないのですね。
今回の提訴に至る前の2011年9月。出版社7社と作家・漫画家122人はスキャン代行業者に対して質問状を送付している。[…]回答があった業者のほとんどは「スキャン事業は行わない」と回答していたが、「今後も依頼があればスキャン事業を行う」とした業者が2社あった。
(逆の明文化となるか:東野圭吾さんら作家7名がスキャン代行業者2社を提訴――その意図 - eBook USER)「今後も依頼があればスキャン事業を行う」が2社(4.7%)だったのに対し、「行わない」ほか、「事業終了」「サイトを閉鎖した」と答えた事業者が37社(86.0%)だった。無回答は11社(25.6%)。
(自炊業者の回答、86%が「スキャン事業は行わない」など - eBook USER)これを背景にしているということは、この時の122作家の作品は現在の事業者からも断られる(さもなければ事業者が告訴を覚悟している)ことになりそうです。「出版社からスキャン代行業者への質問状を全文公開、潮目は変わるか - Book USER」で、122作家のリストを確認できました。
[あ] あいだ夏波 愛本みずほ 青木琴美 青山剛昌 赤川次郎 秋本治 浅田次郎 浅田弘幸 あさのあつこ 阿刀田高 荒木飛呂彦 安藤なつみ いくえみ綾 池野恋 池山田剛 石川雅之 石田衣良 石塚真一 石持浅海 伊集院静 一条ゆかり 五木寛之 内田康夫 浦沢直樹 江國香織 大暮維人 逢坂剛 大沢在昌 小川洋子 荻原浩 奥浩哉 奥泉光
[か] 甲斐谷忍 角田光代 桂正和 神尾葉子 上条明峰 川上弘美 かわぐちかいじ 岸本斉史 北方謙三 北川みゆき 北川タ夏 北見けんいち 樹林伸 京極夏彦 桐野夏生 くらもちふさこ 黒井千次 小池真理子 香月日輪 小山宙哉
[さ]さいとう・たかを 坂上弘 桜小路かのこ 里中満智子 猿渡哲也 椎名軽穂 重松清 篠田節子 白石一文 清野静流 宗田理
[た] タアモ 高橋源一郎 ちばてつや 筒井康隆 津山ちなみ 冬目景
[な] 永井豪 西炯子 西村京太郎 楡周平 乃木坂太郎
[は] 馳星周 畑健二郎 葉月かなえ 林真理子 はやみねかおる 春田なな 東野圭吾 平岩弓枝 弘兼憲史 深見じゅん 福井晴敏 フクシマハルカ 藤子不二雄A 藤島康介 藤田宜永 武論尊 誉田哲也
[ま] 槇村さとる 真島ヒロ 増田こうすけ 松本ひで吉 松本零士 三田紀房 道尾秀介 皆川亮二 水波風南 南勝久 宮城理子 宮城谷昌光 宮本輝 村山由佳 本宮ひろ志 森絵都 森川ジョージ 森田まさのり 森村誠一 森本梢子
[や] やまさき十三 山原義人 山本一力 山本文緒 唯川恵 弓月光 夢枕獏 米沢りか 六花チヨ 若木民喜 渡辺淳一
さすがにこの人数だと、せめて再読の手段を確保することなく、ただ捨てるしかないと言われるとつらい作家が多くなってきます。抗議行動(というより当てつけ)としては、捨てるしかなくなった時に同じ境遇の人と集まって盛大に本を焼く、とかありそうですけど、本を焼けるぐらいなら悩まないのですよね。
もう最初から買わない、読まない、持ったり読んだりして執着を持たないしかないのかな。
-
"作家から見ると裁断本を見るのは本当につらい。もっと本を愛してください"
「自炊」代行2社にスキャン差し止め要求 東野圭吾さんら作家が提訴 - ITmedia ニュース
分かります。ましてや、十把一絡げに結わえられて古紙回収に出されるのを見るなど、捨てられるのに加えてもう読まれないことも加わって、なおさらに辛いですよね。本当、本を無制限に置くことができなくて辛いんです。
ぜひ自炊代行業者を攻撃してないで、出版社に愛読者(購買者)へBookOceanのような書籍管理を無料サービスとして提供するように働きかけてください。「デジタル化については出版社と折り合いをつけて少しずつ進めている」とまだデジタル化を提供できてないと自ら現状を口にしておられる、それと私たちの「持ちきれない、自分でデジタル化する機材と労力は購えない」を摺り合わせると、たどり着く先はデジタル化の代行依頼か本を焼くことなんです。
「追加課金できないデジタル化より焚書がマシ」というのは、さらに辛く悲しくないですか?




